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Ocean crossing(外洋横断)ヨット [ヨットの話題]

今月15日にオーストラリアの女子高生、Jessica Watson(ジェシカ・ワトソン)さんが最年少で単独無寄港無支援世界一周に成功しました。

詳しい経緯は、The Daily Telegraph誌および彼女の公式ウェブをみて頂くとして、先日購入した書籍『The Seaworthy Offshore Sailboat by John Vigor』の第2章に”Test Your Boat”と題しまして、自分のヨットの各部位の形状または装備品を選択肢の中から選んで、それによって自分のヨットが外洋横断に適しているかどうか評価できるということです。
著者はこのテストは25フィートから40フィートまでの一般的なヨットに当てはまるものであるが、あくまで目安の一つであって絶対的な評価をするものではないと断りを入れています。
外洋に行こうとお考えの読者は参考にしてみて下さい。

まずはハルについて、設問1~6はご自分のヨットの形状を選択支より選んで下さい。
それぞれ選択肢の下もしくは右の『( )』で囲まれた数字を足していきます。

ハルについて
1, Midsection(中央断面形状)
midsection.jpg

2, Freeboard(乾舷の高さ)
freeboard.jpg

3, Overhangs(船首、船尾の張り出し具合)
Overhangs.jpg

4, Rudder(舵形状)
Rudder.jpg
注:左から順に、アウトラダー、スケグ付き、バランスドラダー

5, Keel (キール形状)
Keel.jpg

6, Beam(ビーム)
Beam.jpg

7, 艇に設置されているスルハルの個数
1~2 (1)
3~5 (2)
5~7 (3)
8~   (4)

8, スルハルの材質
(1)
プラスティック (3)
真鍮 (4)

9, シーコックタイプ
ボールバルブ (1)
ゲートバルブ (3)
シーコック無し (4)

10, ハル材質
(0)
ファイバーグラス (1)
(1)
アルミニウム (1)
コンクリート (2)
ファイバーグラス(コア材を使用したサンドイッチ構造) (2)

11, ハルとデッキの接合部から水漏れの形跡があるか?
いいえ (1)
はい (3)

12, ハルにオズモシスの形跡があるか?
いいえ (0)
表面的なもの (5)
深刻なもの (10)

13, 固定バルクヘッドの数
3~ (1)
1~2 (3)
無し (5)

14, チェインプレート部に視覚出来るひずみがあるか?
いいえ (0)
はい (3)

15, 操舵形式
ティラー (1)
ラット (2)

16, 設問15でラットと答えた場合、エマージェンシー(緊急用)ラダーは装備していますか?
はい (0)
いいえ (3)

デッキについて
17, デッキを歩いているときまたはスクリュードライバーの柄で叩いたとき、十分な堅さを有しているように感じますか?
はい (1)
いいえ (3)

18, ハル内部にデッキフィッティングからの水漏れやその形跡があるか?
いいえ (1)
はい (2)

19, デッキフィッティングにバッキングプレート(裏当て補強)が使用されているか?
はい (1)
いいえ (3)

20, アンカーウィンドラスが装備されているか?
はい (1)
いいえ (2)

21, 係船用のチョック、クリートは十分な大きさおよび強度があるか?
はい (1)
いいえ (2)

22, アンカー用のサンプソンポストもしくは堅牢なフォアデッキクリートがあるか?
はい (1)
いいえ (2)

23, コーチルーフ前端のエッジの形状
直立の立ち上がりがある (1)
傾斜状になっている (3)

24, ガンネルまたはトーレールの高さ
20cm〜 (1)
10~20cm (2)
無し (5)

25, ハッチおよびスカイライトハッチについて
小さくて少数 (1)
小さいが多数 (2)
大きくが少数 (4)
大きくて多数 (5)

26, アンカーライン用ローラーの数
2つ (1)
1つ (2)
無し (5)

27, ブームエンドの支え方
ブームレスト (1)
トッピングリフト (1)
バックステイからつり下げる (4)
無し (5)

28, 自動操縦装置
ウィンドベーン (1)
デッキ下設置式オートパイロット (1)
コクピット設置型オートパイロット (3)
無し (5)

29, コーチルーフに設置されているポートホールの形状
Coachreef.jpg

30, コーチルーフの形状
IMG.jpg

31, スプレーフッドまたはドジャー
無し (1)
折り畳み式 (1)
固定型 (2)

コクピットについて
32, コクピットサイズ
cockpit.jpg

33, コクピットは完全に防水仕様(水が物入れやエンジンルームに入らない)か?
はい (1)
いいえ (4)

34, コクピットは自動排水か?
はい (1)
いいえ (5)

35, コクピットに水が溜まっても、船内に浸水しないよう構造になっているか?
はい (1)
いいえ (5)

36, コンパニオンウェイ入り口の形状
差し板 (1)
ヒンジ式 (3)
両方 (3)

リギンについて
37, スタンディングリギン(マスト固定用リギン:サイドステイやフォアステイなど)のワイヤー構造
1 x 19ワイヤー (1)
7 x 7ワイヤー (1)
ロッド (3)

38, スタンディングリギン材質
316ステンレス (1)
亜鉛メッキされた鉄 (1)
302/304ステンレス (2)

39, リギンターミナル形式
ノースマン式ターミナル (1)
ワイヤースプライス (1)
ローラー式スエッジ (2)
タルリットもしくはニコプレス式スリーブ (3)

40, ターンバックルの両端にトグルが付いているものをリギンの両端に使用しているか?
はい (1)
いいえ (2)
sailboat-toggle.jpg

41, ローワーシュラウドは左右2本づつあるか?
はい (1)
いいえ (2)

42, ターンバックルの形状
オープン形式(上から下までスリットが入っていて開いているもの) (1)
シリンダー式(中央にだけ小さな穴が開いているもの) (2)

43, パーマネントバックステイ
有り (1)
無し (3)

44, マスト形式
デッキ貫通式 (1)
オンデッキ式 (2)

エンジンについて
45, エンジン燃料
軽油 (1)
ガソリン (2)

46, エンジンパワー
排水量1トンにつき、4馬力以上 (1)
排水量1トンにつき、2~3馬力 (2)
それ以下 (3)

安全対策について
47, ライフライン形状
ダブルライン (1)
シングルライン (2)
無し (4)

48, バウパルピッドの有無
有り (1)
無し (2)

49, スタンプシュピット
有り (1)
無し (2)

50, 海面から船上に上がる為のはしごの有無
有り (1)
無し (2)

51, アビームより上りの角度をセーリングしている時のヘルム
微かなウェーザーヘルム (1)
ニュートラルヘルム (2)
強いウェザーヘルム (4)
リーヘルム (5)

アコモデーション(居住空間)について
52, 船内の天井までの高さ
船内をすべて屈まずに移動出来る (1)
メインキャビンおよびギャレーを屈まずに移動出来る (2)
屈まずに移動出来ない (3)

53, チャートテーブルについて
固定された専用テーブル (1)
折りたたみ式 (2)
他の用途と共用 (2)
無し (4)

54, 海図や航海用書籍の収納棚
十分にある (1)
不足である (2)

55, 船体の端から離れた位置に2つ以上バースがありそれらは;
1.93m以上のものである (1)
1.83m以上のものである (4)
無しもしくは上記以下の長さ (10)

個人の経験について
56, 自信のセーリング経験を以下からひとつ選ぶ
船長として外洋をわたった経験がある (1)
クルーとして外洋をわたった経験がある (4)
船長として沿岸クルーズの経験がある (6)
豊富なディンギー操船経験がある (7)
クルーとして沿岸クルーズの経験がある (8)
少しもしくは無し (10)

以上です。

これまでの点数を加算して頂きますと60~242ポイントの間に収まるかと思います。
ここでのテストは、あくまで一般的なものであって耐航性は他にもたくさんの要素に左右されます。
それでは、結果の点数に対応した診断を紹介します。

100ポイント以下
理論的にはあなたのヨットは外洋をわたる能力を有しています。しかし、後の章に出てくる項目もチェックし、愛艇がそれらの影響を受けないようにしましょう。もし、不安事項があれば専門のヨット鑑定士に相談しましょう。

101~130ポイント
あなたのヨットはいくらかの作業とコストを掛けこの本が推奨する基準にまでもって来られれば、おそらく外洋を渡る事が出来る耐航性のあるヨットになるでしょう。

130ポイント以上
鑑定にお金を捨てることはありません。あなたのヨットは外洋セーリングに適していません。買い替えましょう。

以上、外洋横断に適したヨット診断でした。

ちなみに冒頭の話題のJessica Watsonさんのヨット(S&S34)を分る範囲で点数を計算してみたところ100点以内に収まりそうでした。なるほど、彼女が成功した訳です(笑)

診断結果の最後の方は割と酷な言い回しになっていましたね。
ここで、ご自分の艇が130ポイント以上であっても、外洋に行くつもりが無いのであればどうって事はありません。
外洋ヨットである為には、沿岸ヨットやデーセーリングヨットが持っているたくさんの良い事(快適さ、早さ、気持ち良さ、見た目)を諦めないといけません。ですから、これは外洋セーリングの耐航性であってここで耐航性があると判断されたヨットが必ずしも優れたヨットと言う事にはならないことはお分かり頂けるかと思います。

次回は、各設問の補足および考察をしたいと思います。

航祐

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