半魚船? [ヨットの話題]
本日は、私の個人的なブログのエントリから。
船舶の安全性について下の本を読んでいました。
Seaworthiness: The Forgotten Factor
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この本の中から『おもしろいな』と思った所を紹介したいと思います。
これは、16世紀の著名な船大工によって描かれたエリザベス朝時代のガリオン船です。
上の方の絵を見てみると、船体下部(水線下)に魚が描かれています。
このデザインは『What is good for fish should be good for ship.』という仮説の元に考案されました。
つまり、その船型は船体前部に最大幅が位置し、そこからなだらかに中心線に収束していきます。
この本によると、鱈(タラ)の頭と鯖の尾部のコンビネーションがイメージだそうです。
たしかにローマの哲学者、Marcus Cicero も
Those things are better which are perfected by Nature than those which are finished by art.
と言っていますが、このデザインの場合致命的な間違いがあったようです。
それは『魚は水の中を進むのに対して、船は水の上をいく。』ということです。
まあ詳しい事は流体力学の話なので省略しますが、つまり適応する自然法則が違うもんなんですね。
しかし、今でこそ色々な現象がモデル化されたり、データの蓄積によってこれが間違った理論であるというのは容易に理解されますが、根拠のない(全くない訳ではありませんが、実証されていない)仮説と経験則が支配的であった時代は、航海から戻ってくるという事が(長期航海を目的とした船の場合)、『その船が優れた船』である事の指標であったのではないでしょうか。
実際、このアイディアは19世紀後半まで支持されていたようです。
いやー、まさに古き良き時代。
航祐
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